その件は、未だ迷宮入りです。

ぽくぽく走ったり、カレーを食べたりします。知らんがな、のことしか書いてないです。

過去を殴られるということ。

昔のこと。以前住んでたマンションで管理人から荷物を預かっているとメモが張られていた。その数日前に、寝ぼけた私に父親から「うどんを送った」と連絡があったので、多分それだろうと。でも、深夜帰宅が続いたので、なかなか受け取りにいけなかったが、うどんごときでそんなに頑張って受け取らなくても…とおもって1週間くらい放置していた。
お休みの日に管理人の元に受け取りにいくと、ものすごい渋い顔で出迎えられた。無言で渡された箱からは、芳醇な果物の匂いが漂っていた。「ちょっと、これ、日に日に匂いがキツくなってくるので困るんだけど」と。
「うどん」じゃなく、正解は「ぶどう」だったようだ。聞き間違えてた。それも普通宅配で送ってきていて、私が不在の間、どんどん熟していったらしい。
管理人はその匂いがどれだけ漂っていたか私に語った。どれだけ困ったかを、笑い話にしながら、他の住人にも喋ったらしい。

私はしにたくなった。いや、よくわからない感情でいっぱいになった。自分の居ないところで起こった、自分の制御不能な事態をどう受け止めて良いかがわからなかった。いくら今謝ったって、反省の弁を述べたって、そのぶどうはこの1週間、毎日芳醇な匂いを漂わせていたのだ。それはどうやったって、止めることはできない。

30年ほど前の記事で、現在一斉に殴られている人の現在の様子を流し見しながら、このぶどうのことを思い出した。
もう自分が手を出すことのできない時間のことを殴られても、もう現在の自分にはなすすべがない。それはとても、つらい。いくら今どれだけ言い訳しても、その鼻をつくぶどうの匂いは消すことはできない。

そのぶどう?嫌な気持ちになりすぎて、箱も開けず、捨ててやった…気がする。